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ボイスドラマ〜Interior Dream

Ks(ケイ)、湯浅一敏、インテリアドリーム
ボイスドラマ〜Interior Dream
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  • ボイスドラマ「ノルディックベンチ」後編
    後編は、舞台を19世紀のノルウェーに移し、「ノルディックベンチ」に刻まれた伝説を描いていきます。厳しい冬の北極の町で、家具職人エミルと聖歌隊の少女カレンは出会いました。許されぬ恋、離れゆく運命、そして吹雪の中の決断。このベンチが、なぜ「永遠の愛を見守る」と語り継がれるようになったのか─その答えが、ここにあります。前編とは違った、静かで切ない物語。【登場人物のペルソナ】・エミル(25歳)=ノルウェーの『北極の町』アルタに住む家具職人。教会に頼まれて礼拝堂のベンチを作っている。カレンと出会い恋に落ちる。2人で語り合った思い出をいつまでも残すために、ベンチに北極の星座の装飾を彫る(CV:日比野正裕)・カレン(18歳)=クリスマスの時期になると小さな村を回る聖歌隊のなかの1人。初めてアルタにやってきたとき、エミルと出会い、恋に落ちるが、聖歌隊では恋愛は禁止。2人はエミルの作ったベンチに座って語り合った・(CV:桑木栄美里)・■資料/古代遺跡を照らすオーロラの町!ノルウェー・アルタhttps://skyticket.jp/guide/314110/<シーン1/クリスマスの前〜アルタの町の小さな教会の礼拝堂>(SE〜吹雪の音〜教会の鐘の音)神父:「皆さん、今年もクリスマスが近づいてきました。神の恵みに感謝し、心を一つにしてその日を迎える準備をしましょう」エミル:ノルウェー。北極の町、アルタ。19世紀の中ごろ。田舎町の小さな教会で、年老いた神父が語り出す。神父:「来週には聖歌隊もやってきます。この礼拝堂もいつもとは違った温かな歌声で満たされるでしょう」エミル:私の名はエミル。駆け出しの家具職人だ。アルタで生まれ、アルタで育った。いまは、神父さまに頼まれて、ベンチを作っている。あとは、聖歌隊席に置く4脚のベンチを作ればすべて完了だ。小さな教会だから、ベンチの数も多くない。礼拝堂に3人かけのベンチが10脚。聖歌隊席には2人かけのベンチが4脚。聖歌隊の人数も10人に満たないのだから問題ない。さあ、急ごう。来週、聖歌隊がやってくるまでに、完成させないと。<シーン2/小さな教会に聖歌隊がやってきた>(SE〜教会の鐘の音〜ゴスペル〜曲終わりで)エミル:今年の聖歌隊は1人多い。大人の女性たちに混ざって、1人だけ、多分10代、の少女が歌っていた。ひときわ澄んだ歌声に、心が洗われるようだ。と、感心している場合じゃない。僕はゴスペルを聴き終えると、神父さんに目配せをして工房へと急いだ。(SE〜工房の環境音)今晩無理すれば、あと一脚くらい、ベンチは作れるだろう。少女は1人、立って歌っていた。本当に悪いことをした。罪滅ぼしの意味も含めて、聖歌隊席に追加したベンチには心をこめて北極の星座を彫刻する。北極星(ポラリス)を含む小熊座。ポラリスは、永遠の導きと不変の象徴。これは彼女のために。彼女が座る左端に掘った。北斗七星がしっぽの、大熊座(おおぐま座)。航海や旅路の守り神だから。彼女へ。W字の形をしたカシオペア。美しさと知恵の象徴ってことはこれも彼女かな。<シーン3/小さな教会の礼拝堂に最後のベンチを納品>(SE〜朝の環境音/小鳥のさえずり/ベンチを設置する音)カレン: 「おはようございます」エミル: 「あ」カレン: 「まあ、なんて美しいベンチ」エミル: 「あ、ありがとうございます」カレン: 「やだ、こんな小娘に敬語なんて」エミル: 「いや、だって・・・」カレン: 「カレンって呼んでください」エミル: 「はい、わかりました・・・」カレン: 「あなたのお名前は?」エミル: 「エミルといいます・・・」カレン: 「いいお名前」エミル: 「あ、ありがと・・・」カレン: 「ベンチに彫ってあるのは星座?」エミル: 「うん、北極の星座」カレン: 「へえ〜。夜じゃないのにキラキラ輝いてる」エミル: 「金箔と銀箔を埋め込んであるから」カレン: 「座ってもいいかしら、エミル」エミル: 「あ、どうぞ・・・カレン・・」君のために作ったんだ・・・とは言えなかったけど。カレンは、右端のカシオペアに座った。ギリシャ神話のカシオペアは、美しさを誇示するキャラクター。そのために神々の怒りを招いて破滅をもたらした。美しいカレンには、そうならないでほしいな。聖歌隊席のベンチは、向かって右側に2脚、左側に2脚・・だったけど、いまは左側2脚の横に、少し小ぶりなベンチが1脚。そこにカレンがちょこんと座る。そんなに大きくないベンチだけど、小柄なカレンが座ると不釣り合いで思わず笑った。カレン: 「このベンチは何人がけ?」エミル: 「一応2人がけだよ」カレン: 「そっか。じゃあエミル、ここに座って」エミル: 「そんな・・・」 躊躇いつつ、ポラリスにもたれる。 カレンとは距離を保ち、僕はベンチの右端に寄って。 行き場のない北斗七星が、カレンと僕の間で煌めいていた。<シーン4/クリスマス目前〜小さな教会の礼拝堂/聖歌隊席>(SE〜小鳥のさえずり〜教会の鐘の音)カレン: 「おはよう、エミル」エミル: 「おはよう、カレン」 早朝。 誰もいない礼拝堂で、僕たちは語り合った。 カレンの家は、南の町、トロンハイム。 お母さんと2人暮らしだという。 お母さんは、敬虔なクリスチャン。 カレンが18歳になるとすぐに聖歌隊に参加させた。 カレンも歌うことが好きだったから、 喜んで小さな村々を回っているそうだ。 確かに、透き通ったカレンの歌声は、 まるで、天使の讃美歌。 瞳をキラキラさせて話をするカレンに ステンドグラスから朝の光が差し込む。 それはまるでオーロラのように、幻想的な光の色彩を作り出す。 僕は、朝のこの時間のために 毎日を生きているような気持ちだった。<シーン5/クリスマスイブ〜小さな教会の礼拝堂>(SE〜教会の鐘の音〜ゴスペル〜曲終わりで)エミル: クリスマスイブ。 その日、カレンは聖歌隊にいなかった。 風邪でもひいたのか。 違った。 カレンのいる聖歌隊は、恋愛禁止。 ましてや、カレンは未成年。 聖歌隊の皆も、神父さんも僕には何も教えてくれなかった。 真実を知ったのは、礼拝に来る人たちから。 聖歌隊から外されたカレンはひとり実家へ戻っていったという。 いや、待てよ。 確かカレンの家は、遠く離れたトロンハイム。 そんなところまで1人で帰れるわけがない。 僕はクリスマスミサも早々に、吹雪の外へ飛び出す。 まさか、まさか。 1人でトロンハイムへ? この吹雪のなか、山越えを? いったいどれだけ距離があるか知っているのか? 深い森やフィヨルドを抜けていかなきゃならないのに。 僕はカレンを追って、雪山へ入った。 行く手を阻むラーガ山脈の険しい峰。 視界は1メートル先も見えない。 氷点下の風は肌を刺し、息を吸うたびに肺が痛む。 カレンの足なら、まだそう遠くまでいけるはずはない。 スカンダ渓谷の入り口まできたとき、 針葉樹の大木の根元に白いかたまりを見つけた。 それは雪に埋もれたカレンの小さな体。 クリスマスツリーから落ちたオーナメントのように 美しい顔にも雪が降り積もる。 「カレン!」 僕はカレンを抱き上げると、今来た道を戻っていった。<シーン6/クリスマスの翌日〜教会の庭のベンチ>(SE〜夜の環境音)エミル: アルタに戻ったのは、イブが明けたクリスマスの未明。 教会の扉は閉ざされ、町は静まり返っている。 いつのまにか吹雪はおさまり、 見上げると暗闇の隙間からオーロラが夜空を彩っている。 主人(あるじ)のいなくなったベンチは教会の庭に置かれていた。 僕は冷たくなったカレンを抱き、ベンチに座らせる。■BGM〜「インテリアドリーム」 ああ、カレン。寒かったろう。凍えただろう。 僕は、カレンの横に座って彼女を強く抱きしめる。 体温が、カレンの魂を温めていく。 ポラリスとカシオペアにはさまれて 北斗七星の前で僕たちは・・・神父: 「アルタの町は静けさに包まれ、 いつしかまた降り出した雪が ノルディックベンチに佇む2人の上に、 ゆっくり静かに降り積もっていきました」※ **ノルディックベンチのディテール**  「ノルディックベンチ」は北欧家具の特徴を象徴する作品で、以下のディテールが施されています。  - **素材と質感**:北欧の厳しい自然環境に耐えるため、耐久性のあるオーク材やアッシュ材を使用。木目の美しさを最大限に活かし、自然な風合いを強調。  - **デザイン**:背もたれと座面は緩やかなカーブを描き、人間工学に基づいた快適な座り心地を提供。無駄のないミニマルなデザインでありながら、装飾として雪の結晶や北極の星空をモチーフにした彫刻が施されている。  - **仕上げ**:オイル仕上げで、木材の自然な温もりを引き立てる。北欧の冬の光を反射するような、柔らかな艶を持つ。  このベンチには「永遠の愛を見守る」とされる伝説が込められており、特に冬のオーロラの下でその魅力が最大限に引きだされます
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    13:18
  • ボイスドラマ「ノルディックベンチ」前編
    インテリアデザインの世界に生きる若き二人─建築士の彼と、インテリアコーディネーターの彼女。最悪の出会いから始まる二人の関係が、1年という時間の中でどのように変わっていくのか。北欧家具のデザインと、伝説のベンチがどんな意味を持つのか。「インテリア」とは、単なる家具や空間の話ではなく、「人の暮らしと記憶を紡ぐもの」でもあります。その本質が、この物語を通じて少しでも伝われば嬉しいです。そして、この物語は Spotify・Amazon・Apple などのPodcastプラットフォーム、服部家具センター「インテリアドリーム」公式サイト でもお聴きいただけます。【登場人物のペルソナ】・男性(25歳)=大手の建設設計会社で働くエンジニア。働きながら将来的にはインテリアデザイナーを目指して勉強している。12月の声を聞いた頃、本社東京への転勤の話が持ち上がる(CV:日比野正裕)・女性(26歳)=ハウスメーカーで自社物件のインテリアコーディネーターをしている。海外研修をしたくて入社した当初から人事部に志望を出していた。来春のLA支社開設に伴い、支社専属コーディネーターの候補として自分の名前があがっていた(CV:桑木栄美里)【Story〜「ノルディックベンチ/前編」】※今回は試験的にモノローグがシーンごとに変わります<シーン1/最悪の出会い(1年前)>(SE〜展示会の環境音/BGMはクリスマスソング)女性:「正直に言わせてもらいますけど、この家具。 北欧風のダイニングってテーマに全然合ってないですよね。 まず、シルエットが重すぎる。 北欧家具の魅力って、シンプルで軽やかなラインと、 視覚的にも空間的にも“抜け感”を生むデザインにあるんです。 これじゃ、空間全体が圧迫されてしまう」男性: インテリアショップのワークショップ。 出品者同士で語り合うオフ会で いきなりの先制パンチ。 彼女、確か、ハウスメーカーのインテリアコーディネーターだったよな。女性:「素材のチョイスも疑問ね。 北欧スタイルは、オークやアッシュみたいに明るい色味の天然木材が主流でしょ。 でもあなたのベンチは色味が暗くて、まるで重厚な和風家具みたい」男性:「な・・」女性:「あと、プロポーションがアンバランスだわ。 チェア自体が大きい割に、座面の高さが低すぎる。 北欧のダイニングセットは、家族や友人が集まる“ソーシャルスペース”。 座り心地やテーブルとの相性をもっと考えるべきじゃないですか?」男性:「この・・言わせておけば・・」 しかし、確かに言われることには筋が通っている。 そもそも僕はまだプロのインテリアデザイナーじゃない。 今回、プロアマ問わずに作品を募っていたワークショップに出品したんだ。 僕は大手の建設コンサルタント会社で働く建築設計士。 まだ4年目だけど、二級建築士の資格を持って建築図面を引いている。 でも今日のワークショップは仕事じゃない。 実はいま、インテリアデザインの勉強をしているんだ。 それで、『北欧デザイン』をテーマにしたこのワークショップに 作品を作って応募したってわけ。 撃沈。 苛立って睨みつける僕に、彼女は余裕の笑みを返してきた。<シーン2/会長宅リフォームのプレゼン>※最悪の場合、会長は湯淺・・(SE〜プレゼンルームの環境音)女性:「今回の会長宅のリフォームでは、北欧スタイルを取り入れたいと思います。 自然素材の家具と柔らかな間接照明を活かした温かみのある空間。 リビングには、明るいオーク材のフローリングと、 シンプルなラインのソファを中心に、家族が集まりやすい配置を考えました。 壁面は自然光を反射するためのライトグレーのペイント。 昼間でも柔らかな光が部屋全体に広がるようにしています・・」会長:「北欧スタイルねえ。 良さはわかるんだけど、ちょっと軽くないかね」女性:「もちろん、会長のおっしゃる重厚感も大切だと考えています。 ダイニングにはウォールナットのテーブルを配置して、 高級感と重厚感を演出しました」会長:「ウォールナットも悪くないんだけどなあ。 なんかピンとこないんだよ」女性:「そうですか・・」男性:「会長」会長:「ん?きみは?」男性:「建築士の設計コンサルタントです」女性:「え?あなた・・・」 プレゼンルームの隅っこから声をあげたのは この前ワークショップにいた青年。男性:「会長、お孫さんはいらっしゃいますか?」会長:「ああ、いるよ。まだ小学生だけど」男性:「さきほど彼女、”家族が集まる場所”って言いましたよね。 ウォールナットは見た目の重厚感だけでなく、 すごく耐久性が高い素材なんです。 例えば、お孫さんがテーブルの上で宿題をしたり、絵を描いたりしても、 傷がつきにくい。 汚れにも強いから、食べこぼしても簡単に拭き取れます」会長:「ほう」男性:「それにオーガニックで環境にも優しい。 化学処理が少なく、天然のままの風合いを生かしているので、 お孫さんが触れても安全です」会長:「なるほど」男性:「何より、長年使い込むほどに味わいが増します。 家族が集まるたびに、このテーブルに思い出が刻まれていく。 ウォールナットと一緒に家族の年輪を刻んでいってはどうですか?」会長:「うむ」女性: 言い終えたあと、彼は一瞬私の方へ視線を送り、ウィンクした。 あのとき私、あんなに厳しいこと言っちゃったのに。 でも、居心地の悪さより、救ってくれた嬉しさの方が勝(まさ)った。 施主も私たちも英顔でプレゼンルームをあとにする。 この一件以来、私と彼の距離は急速に縮まった。 彼は25歳。私よりひとつ年下。 設計コンサルタントとして働きながら、 インテリアデザイナーを目指している。 私たちは食事を共にする仲となり、 コーディネーターとデザイナーとしてリスペクトし合いながら 季節が巡っていった。<シーン3/1年後のクリスマス>※TMスタート後「え?」が多くてすみません(SE〜街角の環境音/クリスマスソング)女性:「あのベンチ、なあに?」男性: 彼女と一緒に過ごすようになってから最初のクリスマス。 インテリアコーディネーターとインテリアデザイナーの デートスポットは・・・ そう、インテリアショップ。 最近の家具屋さんはオシャレなところが多いし、 僕たちはここにいれば、何時間でも過ごすことができた。女性:「昨日まであんなんなかったよね?」男性: リビングとダイニングの真ん中。 ベンチは部屋と部屋の間に置かれていた。女性:「なんか、書いてある・・・ ノルディックベンチ?」男性:「君の好きな北欧スタイルだね」女性:「ノルウェーのアルタ。 『北極の町』の教会に置かれていたベンチだって」男性:「へえ〜。なにか謂れがあるのかな」女性:「悲恋伝説らしいわ。 その代償として、このベンチに座るカップルは結ばれる・・」男性: ドキっとした。 実は僕のカバンには、辞令が入っている。 東京支社への転勤の辞令。 僕は今日、それを彼女に告げなければならない。女性:「どうする?」男性:「いいじゃん。座ろうよ」女性:「うん」男性: 僕がベンチに腰掛けると、 彼女もゆっくりと腰をおろした。女性:「実はね、話したいことがあるの」男性:「え・・」女性:「私、いまの会社、ハウスメーカーに入ってから ずうっと海外勤務希望申請をだしてたの、知ってるでしょ」男性:「うん・・」女性:「それがね、急に決まっちゃったのよ」男性:「あ・・・」女性:「来年の春、LAに支社を開設するんだって」男性:「そう・・・」女性:「申請だしてたのさえ、忘れてたのに」男性:「よ、よかったじゃないか・・・」女性:「強制ではないんだけど、独身だと断りにくいから」男性: 彼女の言葉が途切れたのをきっかけに、僕も彼女に告白する。男性:「実は僕も君に話があるんだ・・・」女性:「え・・」男性:「これを見てほしい」女性:「なに」男性: 僕がカバンの中の辞令を彼女に手渡すと・・女性:「東京・・転勤・・・?」男性:「来年早々から」女性:「本社勤務、ってことは栄転ね」男性:「まあ、そうなるかな」女性:「おめでとう」男性:「いや、いかない」女性:「え?」 ■BGM〜「インテリアドリーム」男性: 僕は彼女から辞令を返してもらい、 そして、目の前で・・女性:「なにしてんの?」男性:「なにって、辞令を破いてるんだよ」女性:「どうして?」男性:「僕がインテリアデザイナーを目指しているの、 君が一番知ってるじゃないか」女性:「でも・・」男性:「これでやっと踏ん切りがついた」女性:「そんな・・」男性:「だから、君の海外勤務は・・・」女性:「もう断ったわ」男性:「え?」女性:「結婚する、ってウソついちゃった」男性:「それ、ウソじゃない」女性:「え?」男性:「結婚しよう」女性:「本気?」男性:「もちろん。返事は?」女性:「Yes!に決まってるじゃない」男性: なんだか、いままで悩んでたことがおかしくなる。 ノルディックベンチ。 説明書きにあるように「永遠の愛を守る」という伝説は生きているようだ。 『永遠の愛を守る』ノルディックベンチに座って 僕たちは未来を語り合った。(SE〜教会の鐘の音)
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    11:29
  • ボイスドラマ「家族の食卓/もうひとつの物語」後編
    東京での生活が始まり、紅葉は夢を追いかけて日々奮闘します。けれど、思い描いていた理想と、現実の厳しさは違うもの。そんな中、彼女にとって心の支えとなるのは、先輩との交流、そして父の言葉でした。「家具は、家族をつなぐもの。」父の仕事に無関心だった紅葉が、ある仕事を通じてその意味を知ることになります。そして迎える、久しぶりの帰省。紅葉は、父とどんな言葉を交わすのでしょうか。それでは、後編をお楽しみください。【登場人物のペルソナ】・娘:紅葉(くれは)/声優の卵(21歳)=真面目で一途。子供の頃から声優に憧れ、夢を追いかけて東京へ上京する。感情を表に出すことはあまり得意ではないが、家族への深い思いを胸に秘めている。実家の家具屋で育ったため、無意識に家具に対する愛着があるが、家業を継ぐという両親の期待に反発していた(CV:桑木栄美里)・先輩:冬紀(25歳)/若手声優=沖縄出身。優しく親切で、自然体で人に接するが、実は沖縄での家族や地元を大切に思っており、東京での生活にも孤独を感じることがある。娘にとって、東京での厳しい生活の中で心の支えとなる先輩。彼の優しさに触れるたびに、紅葉は自分の父の面影を感じ、心の距離が近づいていく(CV:日比野正裕)<シーン1/声優養成所>(SE〜養成所の環境音)娘: 「おつかれ様でした!」先輩: 「おつかれ!今日もバイト?」娘: 「はい!」先輩: 「たしか・・フィットネスジム・・だっけ?」娘: 「はい、自由な時間に働けるので助かってます」先輩: 「だけどあんまり無理しないようにね。 昼も、和食屋さんでお皿洗ってるんでしょ? うちのレッスンは、ダンスもまざってるから体力消耗するし」娘: 「あ、ダンスは小さい頃から踊ってたんで」先輩: 「それでも疲れる。人間だから」娘: 「大丈夫です!」先輩: 「まあ、若いからがんばれるんだろうけど」娘: 「ありがとうございます!」先輩: そういえば、この子、最初の挨拶で面白いこと言ってたよな。 なんだっけな。え〜っと・・■一瞬、回想シーン娘: 「みなさん、はじめまして! 今日から養成所でお世話になります!よろしくお願い申します! 養成所って、私にとっては夢を育てる場所。 だから、”養成”という文字は、フェアリーの”妖精”。 私はいつも脳内変換しています!」先輩: それで、記憶に残ってるんだよな。 人に覚えてもらう、ってのもこの仕事じゃ重要だから。 実際僕もそれ以降、彼女のこと気になってるんだよな。<シーン2/夜の渋谷/バイト終わりの紅葉>(SE〜繁華街の環境音)娘: 「お先に失礼します!」先輩: 「あれ?」娘: 「あ、先生!」先輩: 「おいおいやめてくれよ、こんな往来で”先生”だなんて」娘: 「だって先生じゃないですか?」先輩: 「養成所でレッスンしてるってだけだろ。 せめて”先輩”にしてくれ。 僕はまだ25歳なんだぜ」娘: 「年齢なんて関係ないと思います。 たとえ小学生だって、私の師匠なら”先生”だわ」先輩: 「そうか。 にしても、遅くまでバイト、がんばってるね」娘: 「はい。 だって東京って家賃すっごく高いんだもの」先輩: 「君は東京の人じゃなかったね」娘: 「そうです、東京でてきてびっくりしました。 バイトしてもバイトしても家賃と授業料に消えていく感じ」先輩: 「そうだよなあ、駆け出しの声優は結構バイトしてるもんなあ。 ましてや、養成所なら出て行く方が多いだろうし」娘: 「そうなんです。だから自炊もしてるんですけど 東京は物価も高い」先輩: 「自炊してるんだ。立派なもんだ」娘: 「なんで?たんに生活費を浮かすためですよ」先輩: 「自炊は体にもいいだろ。 とにかく体が一番だからな。 あとは、規則正しい生活を送ること。 ってそれは難しいか。 まあ、無理せずにがんばって」娘: 「先輩」先輩: 「ん?なんだ?」娘: 「先輩って、お父さんみたいですね」先輩: 「なんじゃ、それ? まだ25だって言っただろ」娘: 「ふふ」先輩: 結局、彼女とは、明るい夜の街をいつまでも話しながら歩いた。 話は尽きず、一駅歩くくらいのボリュームだっただろう。<シーン3/収録スタジオ/初めての仕事>(SE〜スタジオの環境音/「はい本番!はい、キュー!」)娘: 「家具を選ぶときは、まず目を閉じてください」先輩: 「はい、閉じました」娘: 「そこに、家族の笑顔は見えますか?」先輩: 「え?」娘: 「それが、家具を選ぶ基準です」(SE〜スタジオの環境音/「よしOK!このテイクでいこう」)娘: 「ありがとうございました!」先輩: 音響監督が笑顔でうなづく。 彼女が声優養成所に通い始めてもうすぐ1年。 養成所から所属へ。 妖精が羽ばたく時期。 初めて彼女に入った仕事は、なんと僕との掛け合いだった。 それは、家具屋さんの企業アニメーション。 どうしてなかなか、いい表現じゃないか。娘: 「おつかれさまです」先輩: 「おつかれ。一発オーケーかあ。 すごくよかったよ」娘: 「本当ですか?」先輩: 「ああ、レッスンのときより、何倍もいい表情だ」娘: 「実は・・・うちの実家、家具屋さんなんです」先輩: 「だから・・・言葉の意味もちゃんと理解してたんだね」娘: 「はい、家族をつなぐ家具。いつも父が言っている言葉です」先輩: 「そっか・・・ ねえ、つかぬことを聞くけど・・・ 東京へ来てから、何回実家へ帰ったの?」娘: 「あ・・」先輩: 「うん?」娘: 「一度も帰ってない・・・」先輩: 「じゃあ、そろそろ帰るタイミングじゃない?」娘: 「はい」■BGM〜「インテリアドリーム」<シーン4/東京駅/新幹線ホーム>(SE〜新幹線ホームの環境音)先輩: 仕事ができる人は、行動するのも早い。 次の日の朝、彼女は新幹線のホームに立っていた。娘: 「先輩、忙しいのにこんなとこにいていいんですか?」先輩: 「うん、昨日君が明日帰るってきいたら なんだか心配になっちゃってさ」娘: 「新幹線くらい1人で乗れますよ〜」先輩: 「いや、そういう話じゃないだろ」娘: 「やっぱり先輩、お父さんみたい」先輩: 「はいはい。 じゃあお父さんとようく話してくるように。 東京へ戻ったら、家具の話、食卓の話、聞かせてくれ」 娘: 「了解しました」先輩: まるでLINEの絵文字のような笑顔で、 彼女は新幹線に乗り込んだ。 遠ざかるのぞみ号の彼方から、お父さんの声が聞こえる・・ ような気がした。父: 「おかえり」
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    8:00
  • ボイスドラマ「家族の食卓/もうひとつの物語」前編
    「家族の食卓/もうひとつの物語」は、家具職人の父と、声優を夢見る娘の心の交流を描いたものです。「家族の食卓」は、単なる食事の場ではなく、思い出や愛情が積み重なる特別な空間。けれど、親子の関係はいつも順風満帆とはいかず、時にはすれ違い、ぶつかることもあります。それでも、どこかでお互いを思い合っている—そんな二人の物語をお届けします。本作は 服部家具センター「インテリアドリーム」 の公式サイトをはじめ、SpotifyやAmazon、Appleなど各種Podcastプラットフォームでもお楽しみいただけます。◾️登場人物のペルソナ・娘:紅葉(くれは)/専門学校生(20歳)=真面目で一途。子供の頃から声優に憧れ、夢を追いかけて東京へ上京する。感情を表に出すことはあまり得意ではないが、家族への深い思いを胸に秘めている。実家の家具屋で育ったため、無意識に家具に対する愛着があるが、家業を継ぐという両親の期待に反発していた(CV:桑木栄美里)・父(59歳)=インテリアショップのオーナー兼家具職人。無口で職人気質、細やかな技術と頑固さを持ち合わせるが、家族への愛情は深い。言葉では多くを語らないが、家具を通じて娘に自分の気持ちを伝えようとしている。娘が家業を継がずに上京することを不安に感じ、心配しながらも彼女の夢を応援したいという気持ちを隠している(CV:日比野正裕)【Story〜「家族の食卓/もうひとつの物語/前編」】<シーン1/20歳の食卓>(SE〜食卓の環境音)父: 「声優・・? そんなフワフワした職業じゃなくて、まじめに将来を考えなさい」娘: 「別にうわついてなんかいないもん! なんにも知らないくせに」娘: 売り言葉に買い言葉。 喧嘩なんて、したくもないのに・・ お父さんなんて、大っ嫌い。父: 「おまえには、いずれうちの家業も継いでもらわないと」娘: 「継がないから。 私、家具なんて興味ない」父: 「なんだと」娘: お父さんったら、言ってることが、まるっきり昭和。 タイムマシンに乗って1970年代に戻ったみたい。 って、生まれる前の時代なんて知らんけど。父: 「大学を卒業したら家の手伝いを・・」娘: 「大学卒業したら東京へ行くの」父: 「と、東京!?」娘: 「卒業後は1人暮らしするって、ずうっと言ってるじゃない」父: 「東京なんて聞いてないぞ」娘: 「東京じゃないと、ちゃんとした声優事務所なんてないもん」 父: 「母さんは知ってるのか?」娘: 「お母さんにはもう話したから」父: 「なに・・?」娘: 「賛成してくれたもん。 お父さんだけだよ。 そんな古臭いこと言って反対してるのは・・父: 「うるさい・・」娘: 怒りの感情は6秒で収まるっていうけれど、 お父さんのテンションもだんだん下がっていく。 結局、私の希望は認められ、晴れて春から1人暮らしとなった。<シーン2/東京〜アパート探し>(SE〜東京の雑踏)娘: 「お父さん、 何回も言ってるけど、お部屋くらい自分で探せるって」父: 「ばか言うな。 なにも知らない田舎者がアパート探そうと思ったって 不動産屋にいいように騙されるだけだ」娘: 「ちょっと、それ、不動産屋さんで言うせりふ?」 少し困ったような表情を見せたあと、 不動産屋さんは手際よく、いくつか部屋を見せてくれた。 これが、内見、ってやつ? (SE〜鍵を開錠する音)父: 「ここはだめだ。 リビングが南向きじゃないと、陽も当たらないし、 電気代もかかるからだめだ」娘: このご予算では、これ以上のお部屋はちょっと・・ と言って、不動産屋さんが口籠る。 結局、4件目の内見でやっと、少しだけ明るい部屋に出会った。 とは言っても、電気が通っていないと、ほんのり暗い。 私は、薄暗い部屋の真ん中に立って、あたりを見回す。 娘: 「ねえ、お父さん。 お部屋って、な〜んにもないと、 こんなに暗くって、寒いんだ」父: 「ああ、そうだ。 だから、どんな部屋にも、まず食卓を置くんだよ」娘: 「こんな狭い部屋に食卓なんて置いたら、よけい狭くなっちゃう」 父: 「狭くなるんじゃない。あったかくなるんだよ」娘: 「え・・」 父: 「別に大きな食卓を置け、って言ってるんじゃない。 2人用でも、木の香りがして、優しい食卓にすれば ここより5度はあたたかくなるぞ」娘: 優しい食卓? お父さんらしい表現だな。 だけど、私にもわかる。 うちは大家族だったから大きな6人用の食卓。 そこはいつも笑顔と、美味しい香りが溢れていた。 笑い声が飛び交う、暖かい場所。 考えたら、ベランダに面した南向きのリビングより 食卓の方があたたかかった気がする。父: 「まあ、あとはお前次第だ。 無理せずにがんばりなさい。その・・・なんだ・・」娘: 「声優?」 父: 「ああ・・。 一生懸命やって、だめだったら戻ってくればいい」娘: 「また、昭和の言い方して」 父: 「しょうがないだろ。昭和の人間なんだから・・」娘: 「ねえ、お父さん」 父: 「どうした?」娘: 「この部屋に合う食卓、選んでくれる?」 ■BGM〜「インテリアドリーム」父: 「え・・ あ・・わかった。 お前に似合う食卓を選んでやるよ」娘: 「ありがとう」父: 「あったかい部屋にするんだぞ」娘: 「うん」父: 「ちゃんと自炊して規則正しい生活を送ること」娘: お父さんが選ぶ、私の食卓。 実物を見なくても、なんとなくわかる。 木の香りが優しくて、 ずうっと座っていたくなる食卓。 目を閉じれば、お父さんやお母さんの笑顔が浮かんでくる食卓。 ほら、笑い声まで聞こえてくる。 夢をかなえるのに一番必要なのは、 やっぱりお父さんの不器用な応援だな。 もう一度言うね。 ありがとう、お父さん。
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    7:20
  • ボイスドラマ「オーロラの彼方に」後編
    前編では、オーロラに魅せられたヒロインと、彼女を想う先輩研究者の静かな交流が描かれました。後編では、物語が大きく動きます。研究に打ち込みすぎて、自分の体を顧みない彼女。そんな彼女がある日、倒れてしまう…。「オーロラ姫」を救ったのは、科学でもデータでもなく、たった一つの“想い”でした。この物語は、科学と愛、そして眠りが交差する不思議な縁の物語。果たして、彼女は「本当に安らげる場所」を見つけることができるのでしょうか?【登場人物のペルソナ】・女性(26歳)=大学院生で天文学を専攻。太陽風と地球の磁場の相互作用によって生じるオーロラについての研究に没頭している。最近、研究のプレッシャーと不規則な観測スケジュールにより、睡眠障害に悩まされている。オーロラの研究にのめり込みすぎているため、周りからは尊敬と揶揄をこめて「オーロラ姫」と呼ばれている(CV:桑木栄美里)・男性(28歳)=女性と同じ大学院で天文学を研究している先輩。博士号終了後も国立天文台からのオファーを期待してポスドク(博士研究員)としてキャリアを積んでいる。「オーロラ姫」のことを慕っているが、なかなか言い出せないでいる(CV:日比野正裕)<シーン1/先端科学研究所>(SE〜ラボの環境音)女性: 「スーパーカミオカンデからのオファー!?私が?」男性: 彼女が通常より1オクターブ高い音階で驚く。 まあ、無理もない。 大学が運営する先端科学研究所で天文学を研究して、 去年の年末に、オーロラの出現を予測したんだから。 オーロラ姫の面目躍如だ。 それにしても、スーパーカミオカンデとはね。 東京大学宇宙線研究所が運用する世界最大の宇宙素粒子観測装置。 ニュートリノという素粒子を観測する施設からのオファーか。 期待の高さがわかるってもんだな。女性: 「去年のオーロラ出現以来、 毎日毎日観測室とデータ解析室の往復を繰り返してるのよ。 睡眠障害だった1年前より、睡眠不足だわ」男性: そうだった。 オーロラ姫はずうっと睡眠障害で悩んでいたんだ。 彼女の言葉を聞いた僕は、いてもたってもいられなくて いろんな文献を調べたんだっけ。 あ、いや。 彼女のことが好きだとか、そういう直接的な意味じゃなくて。 なんとなく・・・ あれ?やっぱり、好きなのかな・・・ まいいや。 それで結局、治療もさることながら ベッドや寝具も重要、と厚労省のガイドブックにあったから。 足を向けたのが、インテリアショップ。 そこで真っ先に目についたのが、電動リクライニングベッドだった。 高機能なツーモーターでありながらリーズナブル。 これなら研究員の僕でも手が出るかな・・ なんて思ってたらそのネーミングを見て驚いた。 電動リクライニングベッド”オーロラ”。 まるで、僕の心を突き動かすように 目が離せなくなった。 そのとき、同じベッドを見つめていたのが、なんとオーロラ姫。 偶然はドラマを生む。 なんてことはありえないんだな。 そのあと、少しだけ彼女と話し、お茶を飲んで別れた。 彼女と2人っきりの空間で話をしたのは、 あとにも先にもこの日だけ。 僕の思いは、オーロラの光のように、儚く消えていった。<シーン2/先端科学研究所(実験室)>(SE〜ラボの環境音)女性: 「あら?今日は先輩と2人だけ?」男性: え? あ、そうか。 今日は休日だったっけ。 最近はみんな、休日は休んでるからなあ。 当たり前か。 待てよ。 オーロラ姫は・・・彼女は・・ 全然休んでないんじゃないか。 嫌な予感。 不安が心をよぎる。女性: 「お腹すかない? なんだか血糖値が下がってきちゃったみたい」男性: 「ああ、もうこんな時間じゃないか。 夢中になって観測してると、時間も忘れちゃうんだな」女性: 「そうよぉ。 相対性理論でいうタイムマシンの原理ね」男性: なんか違うような気もするけど。 ああ、体の疲れがピークだ。 力を抜くと瞼が閉じていく。 そのとき・・・(SE〜人が倒れる音とガラスの割れる音)男性: 「オーロラ姫!?」 大きな音に目を見開くと・・ 高性能天体望遠鏡が床に倒れ、 その上にオーロラ姫が横たわっていた。 顔色は失せ、急激な発汗と震え。 これは・・・低血糖症だ。 やがて、痙攣が彼女を襲う。 そのまま意識を失った。 少しためらいながら、僕は彼女を抱き起こす。 そのまま仮眠室のベッドへ。 だが、ほどなく、脈が早くなり、呼吸が荒くなる。 そして・・呼吸音は聞こえなくなった。 まずい。 こんなときは・・・ わかっている。大学時代、ライフセーバーをやっていた。 戸惑っているときではない。 オーロラ姫の首を軽く後ろに傾けて、下あごを持ち上げる。 気道を確保してから、唇を合わせて、息を吹き込んだ。 その間に、胸が落ちるのを確認する。 人工呼吸を2回するごとに、呼吸と脈拍をチェック。 僕はオーロラ姫の呼吸が回復するまで人工呼吸を続けた。<シーン3/病院のベッド>(SE〜心電図の音)女性: 「起きて・・・ねえ、起きて」男性: え? ここは・・・病院?女性: 「あなたまで倒れないでよ」男性: 思い出した。 僕は、オーロラ姫に人工呼吸で救命措置をしたあと、 救急車を呼んで病院に運んでもらったんだ。 そうか、付き添っているうちに、僕も眠っちゃったんだな。女性: 「ERドクターに言われたわ。 呼吸が戻ったのは、適切な救命措置のおかげだって」男性: 救命措置・・・女性: 「先輩が迅速に人工呼吸と心配蘇生をしてくれたから 後遺症もなくこうして生きていられるのね」男性: 「それは・・・たまたま僕が以前ライフセーバーだったから」女性: 「ううん。 オーロラ姫を死の眠りから目覚めさせてくれたのは 王子様のキスでしょ」男性: 「え・・・」■BGM〜「インテリアドリーム」女性: 「ありがとう」男性: 「そんな・・お礼なんて」女性: 「今度は、起きているときにしてね」男性: 「ええっ?」男性: そう言ったあと、彼女はいたずらっぽく笑う。女性: 「私、もう少し自分の体を大切にするわ」男性: 「うん。それがいい」女性: 「ああ、病院の硬いベッドじゃなくて、 おうちのリクライニングベッドで眠りたい」男性: 「ああ、あれ」女性: 「そう・・」2人で: 「オーロラ!」女性: 「先輩も、ベッド変えたら?」男性: 「うん、考えてたんだ」女性: 「先輩の給料なら、もっと上位機種にも手が届くでしょ」男性: 「いやいや。僕も自分の身の丈に合わせてオーロラさ」女性: 「へえ〜、そうなんだ」男性: 「僕は所詮ポスドクだし、研究員の給料なんて君もよく知ってるだろ」女性: 「じゃあ、2人合算すれば、アップグレードできるかしら」男性: 「えっ?」 言ったあと、オーロラ姫は下を向いてはにかんでいる。 ひょっとして、僕は王子様になれるのかな。 顔色が戻ってきた彼女の頬は薄紅色に輝いていた。
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インテリアが家族の絆をつむぎだす・・・ハートフルな一話完結の物語を各前後編に分けてお送りします。(CV/ 男性役=日比野正裕、女性役=桑木栄美里)
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